アニメ艦これ大井問題への批判2・ガチレズ大井bot批判
私の嫌いな言葉は「クソアニメ」と「クレイジーサイコレズ」、「○○は百合じゃない」の三つです。こんにちは。
さて今回は
このエントリの続きである。
- アニメの大井がゲームの大井と人格が違っているように思えるのは、ゲームでは提督相手に話しているが、アニメでは艦娘たち、吹雪を相手に話しているからである(話している相手が違うなら態度が違うのは当たり前)
- ガチレズ大井botがアニメをはじめとした公式に影響を与えた事実はない。が、彼女の偏見に満ちた発言、とくにアンチヘテロ・ミサンドリ―的な発言を無邪気に受け入れることはできない。そして、悪いレズは叩かれるが、ガチレズ大井botはいいレズだから許される、と考えるべきではない(ガチレズ大井bot批判)
- 「男性が想像するレズ像だから本物の百合ではない」「変人枠だから本物の百合ではない」「他のキャラに冷たく好きなキャラにだけべたべたするのは百合ではない」というけれど、それはあなたの中の百合と違うだけで、百合ジャンルにはどんな百合をも受け入れる可能性がある(百合の可能性を狭める者たち)
のうち、項目2について見ていきたい。
ガチレズ大井bot批判
もう一度このツイートを取り上げよう。
アニメの私ですか? あれはノンケ、もしくはノンケ寄りのバイ設定なんじゃないでしょうか。レズが美少女にあそこまで冷淡になれるとはとても。ガチレズならば、北上さん一筋であろうとしながらも、周囲の女の子につい甘い対応しちゃうものですから。そう、この私が加賀さんや木曾に接する時のように!
— ガチレズ大井bot (@oi_bian) 2015, 2月 6
主語が大きいこのツイートの、「レズが美少女にあそこまで冷淡になれるとはとても」という部分に改めて注目したい。レズ――女性同性愛者だからといって、美少女にやさしく接しなければならない理由はないはずだ。そもそも、美少女は好みじゃない、少女は恋愛の対象ではない、という同性愛者も少なくないだろうし、恋愛の対象は同性だが、恋愛自体に興味がない、嫌悪を感じている人間だって、世の中にはごまんといる。
また、同性にカミングアウトした際の、ステレオタイプな反応――
「私、同性愛者なの」
「えっ、私はそういう趣味はないから、変な目で見ないでね」
同性愛者は、同性と見れば飛びつくような人間ではないと、私たちはよく知っているはずである。異性愛者とて「女と見れば」「男と見れば」という者はごくごく少ない。「レズが美少女にあそこまで冷淡になれるとはとても」という発言は、しかしこの、「同性愛者は恋愛対象となる性別の相手であれば飛びつく」という偏見を言い換えたものとしか思えない。
ガチレズ大井botの、素直に頷けないツイートは他にも多くある。
まずレズビアンという呼称からしておかしい気がしてきました。
可愛い女の子を女の子が好きになるのは至ってノーマルな衝動です。
なので変態は貴方達異性愛者です。ノンケビアンとかそういう呼称で特殊性癖扱いされなさい。差別されなさい。悔い改めなさい。
— ガチレズ大井bot (@oi_bian) 2013, 9月 29
レズじゃない人ってかわいそう……。
前世でどんな悪い事したの? シリアルキラーとかやってたの?
— ガチレズ大井bot (@oi_bian) 2013, 9月 29
このように、ヘテロ蔑視やミソジニーを含んだガチレズ大井botの発言は、枚挙にいとまがない。同性愛者べ現実で向けられている差別を、異性愛者や男性への差別に置き換えて風刺する意図があるのだろうが、差別の再生産にしかならないようなツイート群でもあることは確かだ。
ガチレズ大井botは個人の手によるひとつの二次創作でしかないから、そのツイートに一貫した公正性をもとめるのは不可能だろう。しかし、だからこそガチレズ大井botのツイートを無批判に受け入れたり、「レズビアンのことをよく理解し啓蒙しようとしている」と必要以上に持ち上げたり、無垢な存在として擁護するのは危うい行為だと思う。ガチレズ大井botのキャラクタ付けは非常に戯画化されたものたったと認識しておきたい。
この項の結びに。ガチレズ大井botは、私にとっては悪いレズ、というよりもカップリングやキャラ付けの好みが合わない存在だった。しかし、もしもガチレズ大井botが「いいレズ」だったとしても、批判を免れるものではないだろう。同様に、ガチレズ大井botが「悪いレズ」だったとしても、ヒステリックに叩かれるべきではないと思う。そもそも「いいレズ」と「悪いレズ」を分ける客観的な基準は存在しない。「いい」「悪い」と誰かが言うとき、彼もしくは彼女は自身の規範を表現しているにすぎないし、その規範を受け入れるよう他人に強要することはできないのである。そして、なにが百合であるか、なにが百合でないか、の区別についても、同じ事が言えるだろう。